プロテインを飲む理由
「あのプロテインとかいうやつ飲んでるの?」
トレーニングに関してまったく無知な人からトレーニングをしている人がよく受ける質問です。
困ったことに、プロテインとはなにかいけない薬物のようなものだと思っていたり、飲んでいればそれだけで筋肉がつくと思っている人が多いものです。
確かにプロテインを飲む事によってタンパク質を補給するほか、様々なメリットが享受できます。かといって、飲むだけで筋肉がつくようなものではもちろんありません。筋力トレーニングをなにもしていない人がやみくもにプロテインを飲むとカロリー過多となり太ります。
とはいえ、プロテインを飲んでいるのと飲んでいないのとでは、筋肉の発達速度に明らかな差が出てきます。そして、どんな種類のプロテインを飲むかでも、かなり大きな差が出てくるのです。
それでは、どんなプロテインが筋発達に最適なのでしょうか?
■プロテインの原材料
プロテインを分類するときには、原材料で区別するのが一般的でしょう。現在市場に出回っているものは、大きく分けて、だいたい次の4つに分類することができます。
1. 大豆プロテイン
2. ミルクプロテイン
3. エッグプロテイン
4. ホエイプロテイン
さて、それぞれについて検証していきましょう。まず大豆プロテインですが、欧米 などではベジタリアンに良く使用されています。ただ、大豆はアミノ酸組成にやや弱点があり、必須アミノ酸のメチオニンが少ないのです。また、繊維質が多くて消化に難があることも問題となります。
現在ではこれらの弱点は解消されていて、メチオニンを添加したうえ、繊維質を取り除いて消化を良くしたものが販売されています。グルタミンやBCAAなど、アスリートにとって重要なアミノ酸が多く含まれることはメリットとなるでしょう。
しかし、やはり気になる点があります。まず第一に、遺伝子組み替えの大豆が使われているのではないか、という懸念があります。遺伝子組み替え食物が他に与える影響はまだ明らかではありませんが、他の選択肢があるならばできれば避けたいところです。
また、大豆にはダイゼイン、ゲニステインといった女性ホルモン様物質があります。これらはガンを抑制する効果などがあって、健康志向の向きには好まれています。しかし多めに摂ってしまうと、まさに女性ホルモンのような働きをしてしまうわけです。脂肪を付きやすくしてしまったり、体内に水を溜めてむくませたり、男性ホルモンの働きを弱めてしまったりといった作用です。健康のために摂る大豆でしたら、日本人なら豆腐や味噌などから、食事で十分に摂取できています。ことさらプロテインで摂る必要はないでしょう。
次はミルクプロテインです。ミルクのタンパク質は、カゼインとホエイに分けられます。ホエイプロテインについては後述しますので、ここではカゼインについて考えてみましょう。カゼインは含硫アミノ酸を除く殆どのアミノ酸を豊富に含んでいるのですが、非常に消化が悪いという欠点があります。カゼインは胃に入るとレニン(レンニン、レンネット)という酵素が働いてパラカゼインになり、これがカードと呼ばれる固まりになります。カードはペプシンによって徐々に消化されていくのですが、その速度は遅く、完全に消化されるまでには10時間近くかかることもあります。
ですから血中に少しずつアミノ酸を放出するには向いているのですが、筋肉がつくアナボリックな環境(血中アミノ酸レベルが一定の水準を超えている)状態を得るには不向きです。またカゼインはアレルギーの原因にもなりやすいものです。
さらに、ミルクプロテインには乳糖が含まれ、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人には向いていません。この乳糖自体にも、下痢のほかに多くの問題点が含まれます。ですからカゼインの問題以外においても、ミルクプロテインは出来れば避けたいところです。
3番目はエッグプロテインです。卵は完全食品とも言われ、特にアミノ酸組成としては人体が必要とするものを過不足なく含み、非常に優秀なタンパク源だと言えます。現在でもオーストラリアなどでは、ホエイと並んで好んで使用されているようです。
ただ、一度飲んだことがある方ならお解りでしょうが、どうしても卵は塩分を多めに含むため、しょっぱい味になってしまいます。また、塩分は体内に水分を貯留させてしまうため、身体がむくみがちな人、余計な体重は落としたいアスリートなどには不向きになってしまいます。
先ほど、人体が必要とするアミノ酸を過不足無く含む、と書きましたが、アスリートには特に必要となるアミノ酸があります。人体(筋肉だけでなく、骨や爪、髪の毛など)を構成するアミノ酸組成としては100点だとしても、筋肉を特につけたい場合には100点で無くなる場合があるという事です。
すなわち、エッグプロテインにはアスリートにとって重要である「ロイシン」というアミノ酸が、やや少なめであるという弱点があるのです。ロイシンは筋肉を構成するアミノ酸の3割を占める分岐鎖アミノ酸の一つでもあり、運動中のエネルギー源としても重要です。ですからロイシンが少ないというのは、卵プロテインをメインとするトレーニーのネックとなっているのです。
そして最後にホエイプロテインです。前述の通り、ミルクプロテインからカゼインを除いたものがホエイだと思ってください。ヨーグルトの固体部分がカゼイン、上澄みの液体部分がホエイです。これからも、カゼインは凝固しやすく、ホエイは液体である、つまり消化吸収が早いということが推察されます。
ホエイこそはアミノ酸組成に優れ、アスリートにとって重要なBCAAやグルタミンも豊富に含む原料です。そして消化吸収も良い、ということから現時点ではウェイトトレーニングの効果をあげるならばホエイプロテインがベストの選択ということになります。
また、ホエイにはラクトフェリンや免疫グロブリンGなどの免疫向上タンパクが多く含まれます。試験管内での実験では、エイズウィルスはホエイプロテインの中で死滅するそうです。
さらに、カゼインに不足していた含硫アミノ酸(メチオニン、システイン)ですが、これらはホエイには多く含まれます。これらのアミノ酸が日本人の食生活で少なく、制限アミノ酸となりやすいこと。加えてシステインは肝機能を高めるといったメリットもあり、免疫向上効果とあいまって、ホエイプロテインは一般的な健康管理にも大いに役立つことでしょう。
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